多肉植物の育て方

多肉植物の原産地は乾燥地であるものが多い. 一年で数日しか雨が降らないと言うところもある. しかし「水をやらなくても良い」と言うわけではない. 多肉も水が好きである。しかし多肉たちは用土の過湿に弱い. そのため水のやりすぎで枯らしてしまうことが多い. 種類によって差はあるが、成長期は「用土が乾いたら」 休眠期には「一ヶ月に一度」くらいメリハリつけて栽培したほうが良い. 高度多肉種は数ヶ月からモノによっては数年間水をやらなくても枯れないものもいるので 休眠期はサディスティクな放置プレイが楽しめるのも多肉栽培の魅力の一つと言えよう.
多肉植物の栽培型について
多肉植物は栽培上の便宜から [夏型] [冬型] に分けられる. [夏型]は高い温度を好み、春から秋に成長し、冬休眠する. [冬型]は高温多湿を極端に嫌うため、秋から梅雨前まで成長し、夏に休眠する. しかし同じ[夏型]、[冬型]と言ってもすべての栽培法が同じではなく、 休眠期に完全断水したほうが良いものや、完全乾燥を嫌い、 少しづつ水をやったほうが良いものもある.< 両者の中間型として[低温夏型][高温冬型]を設定する場合がある. 前者は「夏涼しくして育てる」、後者は「冬暖かくして育てる」となる. 温暖な時期に育てる[春秋型]と理解してもよい.

典型的な冬型(例:リトープス)
冬型生育サイクル
ワンポイント:夏完全休眠する玉型メセンなどはとにかく涼しく、低湿度で夏越しさせましょう. 多めに遮光するか、建物の北側などの雨の当たらない半日陰が良いです. 通風を良くする事も温度降下、湿度低下に効果があります. 完全断水が安全ですが、小型種で衰弱を防ぐため水を与える場合は、 涼しい夕方〜夜に週1回程度、霧吹きで軽く与える程度で十分です. とにかく蒸らさないことが重要です。開花に関しては休眠明けの秋咲きが多いです.

典型的な夏型(例:夏型パキポディウム)
夏型生育サイクル
ワンポイント:冬完全休眠するイモ物などはあまり手を掛けなくても夏の間スクスク成長します. 強健種は雨にさらしても良いですが、長雨で常に鉢土が湿った状態は根腐れの原因になります. あと冬の取り込み時に遅すぎて寒さに当てないように注意です.またあまりに低温で越冬させるのもいけません. 春の芽出しが遅くなる原因になります.最悪の場合、そのまま腐ってしまいます. 根が枯れないように少量ずつ水を与える育て方もあります. 開花に関しては休眠明けの春一番に開花するもの、十分温度が上昇して生育旺盛になった夏に開花するものがあります.

中間的な生育型(例:ハオルチアなど)
中間型生育サイクル
ワンポイント:ハオルチアなどの夏・冬中間型は1年中生育してるという感じです. 日照も多くは必要なく、窓際のガラス越しの光でも良く育ちます.ただし真夏と真冬は半休眠状態になりますので 水遣りを控えた方が良いです.開花に関しては不定期のものが多いが、ハオルチアなどは年中開花している印象が強いです.
他に一般に「難物」と言われる、暑さにも寒さにも弱い植物もこの型に含まれます.年中温暖なカナリア諸島やソコトラ島などの 洋上の島に産するものが多く含まれます.パキポディウム属の難物、「光堂(P. namaquanum)」は冬加温して冬型のように育てる[高温冬型]の栽培を 行う場合が多いようです.

玉型メセン栽培のコツ(初心者向け)
Lithops olivacea
オリーブ玉 Lithops olivacea
リトープス、コノフィツムを初めとする玉型メセン類は 2枚の癒着した葉が高度多肉化しており 非常に興味深い植物群である. 最近これらの植物が一般の園芸店で市販されることも多いが、 普通の植物の感覚で栽培しているとすぐに枯れて(腐って)しまう. これらの植物は[冬型]なのである(上記参照). すなわち普通の植物とは全く逆の「冬生長・夏休眠」の生活スタイルなのである.

成長期は9月ぐらいからでその頃開花し始める. 休眠期は梅雨入りの頃.雨が多いな、と思ったら 通風の良い雨の当たらない所に取り込んで水遣りを中止する. そのまま9月まで2〜3ヶ月全く水を与えず休眠させる. 再び休眠明け頃には霧吹きで水を与えたり夜間潅水するなどして少しずつ水を与える. 成長期に向けて少しずつ水遣りを増やしていくようにするが、土が乾いてからやるのが基本である. (注:コノフィツムの小型種の場合、衰弱を防ぐため休眠中に 少量水を与える(霧吹き、夜間、月1,2回)必要がある.) 日照を好むので日当たりの良い窓際、ベランダなどに置くように心がける. 特に休眠明けに弱光下に置くとヒョロヒョロに徒長してしまい、なかなか元に戻せませないので注意が必要である. 耐寒性は強いので霜除けした戸外でも越冬できるが,寒い地方では室内に取り込むのが初心者には安全な栽培法である.

多肉植物の土
多肉植物は過湿を嫌う.そのため用土に求められる一番の性質は水はけが良いことである. まず基本用土として粒状で崩れにくい赤玉土、鹿沼土、通気性確保のための川砂、軽石砂など、 肥料分として腐葉土、などその他に薫炭、バーミキュライト、珪酸白土など. 用土はこれらの混合したもので基本用土:通気性用土:肥料分用土=5:3:2くらいで良い. うちでは赤玉土(小粒):パミス(軽石・小粒):腐葉土=5:3:2程度で他に燻炭、 バーミキュライト、珪酸白土を少量使用している. オススメは通気性、保水性、保肥性に富むバーミキュライト.用土の10%ぐらい使ってます. 少量栽培する場合は市販の「サボテン・多肉植物用土」が便利だが、メーカーによって質がマチマチなので 比較的粒度が細かい団粒で、ある程度の重さのある排水性が良好な用土なら使用しても良いと思う (見た目だけで排水性まではなかなか分かりませんが・・・)。 「金のなる木の土」とか「シャコバサボテンの土」とかでもなかなか良い配合のものもあるので これらも使用に耐えうるであろう。

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